とーどんの旅と本棚。

本のネタバレなし紹介を中心に旅とか趣味とか。

青春18きっぷで山陽一人旅に出たって話。(二日目・鞆の浦)

尾道の坂道を下り、福山駅の電車何分後かな~とチェックしたら三分後。

駅まで500メートル超。

 

走ったんですよ、僕。

 

マトモに走るの高校の部活以来かって感じで。

 

電車いるときに駅ついて安心したんすよ。

 

走るスピード緩めたんすよ。

 

乗り込む電車は対面ホームだったんだな。これが。

 

地下道の階段駆け下りたんですけど向かい側から来る電車から降りてきた人を見てですね、

 

どうもやる気がなくなってしまいまして。羞恥心もありますし。

 

だから僕は走るのをやめたんですよ。

 

目の前で電車が消えていき、何とも言えない虚無感とともに私はホームに取り残されました。

 

だから受験にも勝てなかったんでしょうね。

 

恥の多い生涯を送っています。

 

次の電車が二十分後だったので、夏彦の世界に浸ることにしました。

やっぱ夏彦は最高やな!

と、もりもり読み進めていくうちに次の電車がホームインし、乗り込みました。

 

旅に本があるって素晴らしい!

 

車内でも夏彦成分を摂取したのち、福山駅に降り立ちました。

 

鞆の浦にはバスで行けるそうなので、バス停を探し乗車。

広島市の路線バスもそうだけど、ICOKAで乗れるのが偉い。

某西の都のバスとか対応してなかった気がする……

 

バスで二十分ほど揺られると、鞆の浦に到着。

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海や。やったあ。(語彙力喪失)

 

崖の上のポニョ」の聖地らしいです。

見たの昔過ぎてハム食べてるところと海走ってるシーンの記憶しかない……

 

それよか昨年BS11で流れてた蒼穹のファフナーEXODUSのイメージが若干あります。

それも流れていたら見ていたってだけで記憶にないとは言えない……

 

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例の常夜燈。でかい。

これが昔から使われていたって考えると感慨深い。

結構狭いとこに立ってるのね……

平日ということもあって観光客は少なかったですね。

カップルがニ、三組いたぐらいかな?

コロナの影響もあり、閉まっているお店が多かったですね。残念!

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この港町の雰囲気がとっても好きなんですよね。

潮風にあたり、ウミネコの鳴き声を聞くのが非常に趣がある。

瀬戸内の海って穏やかでいい。富山湾は時々波が襲ってきておちおち見れない。

 

灯篭付近を見回ったのち、バス停に戻ることに。

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こういう渋い町並み……素晴らしい!

一瞬違う時代の街に迷い込んだのではないかと感じるこの雰囲気。

宮崎監督がポニョのモデルの街にしたのも分かる気がします。

レトロな雰囲気がたまらん。

 

街並みを惜しみながら抜け、バス停に到達。

すると次のバスまであと十分ということだったので、灯篭とは別の方向にあった海に出っ張っている場所(名前忘れた)に行ってみることに。

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もう先端行かなくても満足できる構図。

せっかくなので先端まで行ってみる。

そうしたら鳥が上についているオサレな街灯が。

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「先っぽやからなかなか洒落たモン作ったんやろな~」

って思って近づくと、オブジェと思っていた鳥は飛んでいきました。

お前擬態力高すぎるだろ……

 

先端から戻るとき、足元にカラフルなゴミが落ちているのを発見。

よく見ると……

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いや、お前らかよ。

 

道半ばで行き倒れたヒトデを見て沈黙する一般大学生。

 

何か自分と重なるところを感じたので、心を入れ替えて生きようと思いました(?)

 

てか行くときは目線上だったから気にならなかったけど、割とバタバタ死んでた。

確かにこの気温で天日干しされたらきついやろなぁ……

 

バスの時間もあるので、ヒトデに手を合わせて颯爽とバス停へ。

 

福山駅に帰還した後、次の電車まで時間があったので駅前の福山城だけパチリ。

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駅前からやったらやっぱりこれが限界。

またいつか来たいという思いを胸に、福山を後にしたのでした。

 

次は倉敷に向かいます。広島とはこれでサヨナラです。

名残惜しいですがまた鳥居とかコロナとかがまともになったらリベンジしたい!

とてもいい思い出になりました。

 

なかなかこの旅自体をまとめられなくて申し訳ないです。

これも無駄に冗長な文が悪い。

後は倉敷、舞子だけなのでそろそろ終わると思います!

 

それでは。

大阪の雰囲気が良すぎる古本屋、文鳥堂(旧一色文庫)さんに行ってきました。

皆さん、古本屋行ってますか?

 

僕は一週間に一回は本屋か古本屋入らないと干からびて死ぬタチなので、

街中で見つけたらとりあえず入ってみるタイプです。

 

古本屋っていろんな本が大乱闘スマッシュブラザーズしていて面白いですよね。

そのうえ安く本が手に入るので、貧乏学生には非常にありがたい。

 

「でも古本屋って汚い本がおいてあったり薄暗い雰囲気なんでしょ?」

って思うじゃないですか。現に僕もそう思っていたんですよ。

 

文鳥堂に訪れる前までは。

 

結論、最強

文鳥堂は近鉄大阪上本町駅から徒歩五分程度の場所にひっそりと立地しています。

Googleマップではまだ一色文庫かも?

中の様子がこちら。

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クッソオシャレじゃないですか?

店内は結構狭いんですが、本がぎっしり、その割に整然と並んでいます。

 

そして本一冊一冊がきれいで安いんですよ。

 

古本であるじゃないですか、表紙ズタズタだったり水にディップしたような本。

そんな本が見る限り見当たらないんですよね。新品と見紛うレベルの本も多いです。

それなのに百円の本がザラなんですね。高くても三百円とか五百円とかのイメージ。

色々古本屋とかめぐってますがここの価格設定は破格だと感じます。

 

多分ここ来たら大手の古本屋とか行けなくなると思う。だって綺麗で安いもん。

イスもあるのでじっくり棚を見られますし、時間が許す限り長居したいような空間です。

 

そして特筆すべきなのは商品の回転が早い。

大体僕は一か月に一回くらいの割合で訪れるのですが、かなりの本が入れ替わっているんですよね。

やっぱり安くて綺麗だから多くのお客さんがいらっしゃるのでしょうか?

来るたびに新しい本と出会えるのがとっても嬉しい。

自分の中では月に一度のログインボーナスみたいな感じです笑

目を皿のようにして本棚漁るのが本当に楽しい。

 

店主さんも人のいい方で、写真撮影にも快い返事を頂けました。

古本の値段、質、雰囲気も個人的にはトップクラスで、店主さんの並々ならぬ努力が垣間見えます。

 

店主さんの人柄も含めて最高の古本屋です。

末永く営業してほしい場所だと感じました!これからもお世話になります!

 

大阪住みの皆さんは是非足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

それでは。

青春18きっぷで山陽一人旅に出たって話。(二日目前半・広島市→尾道)

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一人旅の朝は早い(AM05:00)

 

早朝チェックアウトで誰もいない町を散策するのテンション上がりませんか?

涼しい風を全身に浴びながら徘徊するのも乙なモノです。

ホント人に都合を合わせなくてもいいってところが一人旅の醍醐味だと思うんすよね。

ぼっち旅は最高。

 

泊まったゲストハウスが平和記念公園のすぐそばだったので、昨日暗くて立ち寄れなかった場所に向かい、供養塔にも手を合わせてきました。

供養塔の前の碑から、犠牲になった方々が多すぎることを再認識し、

胸が苦しいです。

 

 

公園を散策していると、朝焼けが。

幻想的な空を見て、

昔の人たちもこのように綺麗な空を眺めていたのだろうかと考えていました。

空の色だけは、恒久的に変わってほしくないですね。

 

初めての原爆関連施設訪問でしたが、本当に貴重な経験だったと感じます。

 

もう少し大人になってからまた訪れますね。お世話になりました。

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朝焼けの平和記念公園 平和な世が続きますように。

 

尾道

平和記念公園に別れを告げた後、路線バスで広島駅に移動、

駅そばを頂いてから電車に乗り込みました。

尾道へ向かいます。

 

実は最初尾道行く気なかったんすよ。

昨日から「これ山陽いったし山陰から帰ってこれば中国制覇できるんじゃね?」

「じゃあ出雲大社行きてぇ!広島と島根近いからイケるやろ!」

って考えてたんすよ。昨日夜ベットの中で調べるじゃないですか。

 

05:50広島発~出雲市着15:40

 

は?????????????????????????

 

 

 

所要時間:9時間50分

 

!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?!?!?!?!?!?!??!?!?!?!

 

 

新大阪から広島でさえ7時間掛からんが?

新幹線でさえ4時間の時点で察せよっていう。

金沢から東京まで行けるやんその新幹線。

 

ってことで山陰ルートは諦め、山陽を満喫することにしました!

 

猫と海のある風景が好きだったのでまず尾道へ(安直)

 

そんでも尾道まで二時間近くかかるのね。

昨日からあんま電車での時間が気になっていなかったんすけど、

数字にしてみたらだいぶ長い時間よね……

まあ昨日の移動だけで「死神の浮力」読み切ってますからね。減り具合が凄い。

 

本当に昨日ジュンク堂「塗仏の宴」買っといてよかった……

 

そういうわけで学校に通う高校生に紛れて電車に揺られてたんですけど、

まあ、塗仏が面白い。

 

シリーズ最大級のクソデカスケールに加え伝奇的な雰囲気、誰が敵で誰が味方かもわからない。

特に物語の序盤、電車の中でのシーンがあるんですが電車の中で読んでいるだけあって

凄い頭の中にありありと情景が描けました。

こんだけの文量書いて読ませに来る京極先生の手腕は素晴らしい。

一つの本を集中して読めるのも電車旅の醍醐味ですよね!

スマホの充電器忘れてあんまりいじれなかったのもある。

 

貪り読んでると尾道に到着。

 

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港町やなぁ~

 

僕一番驚いたのが、一緒に降りた学生がフェリーで学校向かってたことですね。

船で登校ってマジか!?って思ってました。

日本海の山の民には信じられん……

 

海沿いを少し歩いた後、尾道の代名詞でもある坂道へ。

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想像より急ですねぇ……

 

以前敢行した朝七時伏見稲荷登山に比べればマシなんかな?

 

ヒイヒイ言って登ってたら、近所のおばちゃんに

「若いっていいねぇ~」

と言われ、何とも言えない気持ちに。

嬉しいし気さくに話しかけてくださってありがたかったのですが、

なかなかどうしてその若いあんちゃんは体力がない。

目の前でヒイヒイ言ってますぜ、その男。

 

「炎々でやってた虎ひしぎって坂道楽になるんやったっけか?」

とかいろいろ模索して坂を上っていくと展望台へ。

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※工事中である。

 

 

あのさぁ……

 

 

この時期に観光する奴に人権はないんか?(ありません)

 

厳島の鳥居といいやっぱこの観光客少ない時期に直しとけって試みですかね?

 

ホントに現地の方々も観光客少なくて苦労してるんやなぁと。

またみんなで大手を振って出かけられる時代になったらいいですね!

 

仕方がないので高いとこから見えた景色をパチリ。

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君らよく茂りすぎって言われんか?

前が見えねぇ。

 

その後も、僕は煙と同じく高いところが好きなのでさらに上へ。

 

そしてモノレール乗り場を見つけ、上に登ろうとしたんですよ。

 

工事中……なんですよね。

 

 

ハァ……

 

 

仕方がないので近くにあった千光寺に行くことに。

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結構急な場所よねここ……

本殿での写真は撮り忘れたので近場の画像で勘弁。

千光寺に参拝したのち、帰ろうとすると面白そうな場所があるではありませんか。

 

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鎖修行……面白そうやん!

 

となったので奉納し、すぐさま鎖修行へ。

写真にも写っている鎖のわっかに足かけて登っていくんですけど、

これが割と怖い。

 

足をかけた鎖が揺れる揺れる。

 

これワンチャン死ぬんじゃね?

と思いながら見よう見まねの三点確保で進んでいく。

リュック背負ってくる場所じゃねえな。これ。

運動不足で死に死にになって本尊へ到達。

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いい景色。

刺激的な経験もできて奉納料百円の価値はあった!

 

降りは別ルートで作ってあったんでヨシ!

 

予想外の体験ができ、満足して山を下りることにしたのでした!

 

 

少し降りたところで老夫婦の方に出会い、

「千光寺はもっと上ですか?」

と聞かれたので、

「もう少しです!頑張ってください!」

と言葉を交わしあいました。

やっぱみんなヒイヒイで上っているんですね。

 

運動不足でもどうにかなる若さって素晴らしい!

 

と、夫婦の前途を祈り、自らの若さに感謝しつつ駅に向かったのでした。

 

最後に、出会った猫の写真をあげておきます。

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みんな可愛い。

あんま写真撮れなかったんですけど、五、六匹ぐらいと遭遇した気がします。

伏見稲荷ほどではないですけど、結構人に慣れてる感じがしましたね。

 

旅についてのルポは、次の鞆の浦、倉敷、明石海峡大橋で終わりになると思います。

もうしばらくお付き合いください。

 

それでは。

 

青春18きっぷで山陽一人旅に出たって話。(一日目 夜 広島市)

宮島を出るフェリーの中、次の行先について調べておりました。

行先は原爆ドーム原爆資料館です。

修学旅行で広島には訪れなかったので日本人として一度は訪れなければならないと

前々より考えていた場所です。

しかし、コロナの影響で臨時休館。

ほんま許さんぞあのウイルス

 

資料館の閉館時刻前に滑り込もうと必死で移動する気でしたが、ゆっくり動くことに。

この時点で調べておかない辺りの自堕落さがヤバい。

 

広島駅に到着し、移動中に読んでいた「死神の浮力」が残り数ページだったので、

駅前のジュンク堂により京極夏彦「塗仏の宴―宴の始末」を購入。

「宴の支度」の話にどうケリをつけるかが気になっていたので……量ありますし。

 

広島のジュンク堂はかなり売り場面積も大きく、蔵書数も豊富で非常に好みでした!

 

その後は、初めての街でバスに乗るのもちょっと違うなと感じたので原爆ドームまで歩くことに。

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いや綺麗。

大阪の街ほど雑多な感じはしないし、中心部に川が流れているところがポイント高い。

京都と大阪と東京足して割った感じ?

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ビルの間近に川があるっていう風景いいですよね。

なんともエモい。

 

初めての街って好奇心掻き立てられるから二キロぐらい平気で楽しく歩けますよね!

 

そして原爆ドームに到着。

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あぁ……

「痛々しい」とか「やるせない」とか「辛い」といった言葉では片づけられないような何とも言えない気持ちになりますね……

この原爆ドームを見てどう思うのが正解とかはないと思うのですけど、戦争に対する

根源的な恐怖や人間同士が殺しあうおぞましさのようなものがこの場所に来ることで感じられたような気がしました。

想像の五倍近く生々しかったです。

折れ曲がって飛び出ている鉄柱や熱線により焦げた跡など……

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特に崩れたガレキまで保存してあることに驚きました。

その残されたガレキが一層戦争の醜さや原爆の恐怖を醸し出しており、

私たちが忘れがちな「70年近く前に日本でも戦争があった」という事実を否応なく認識させられます。

一人の戦後生まれとして、このような戦争を経験された方には怖気が走るような建物を現在まで絶やすことなく保存された方々に感謝の意を伝えたいと思います。

いかに戦争や大量殺戮兵器による被害があってはならないことかを再認識させるため、ガレキまで保存されたことには執念すら感じます。

戦争に対する恐怖や、むごたらしさの象徴、完全なる負の遺産として末永く保存され、未来永劫多くの人に赴いてほしい場所だと感じました。

 

その後、原爆ドームから橋を渡り平和記念公園へ。

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夕闇に染まるこの一帯の景色が本当に綺麗……
七十年前にこの辺り一帯が更地になったとは到底信じられません。

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これが「平和の灯」です。

この世から核兵器がなくなるその時まで、消えることなく燃やし続けるそうです。

そのような日が来ることを祈念してなりません。

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原爆死没者慰霊碑には、次のような文が書かれていました。

「安らかに眠ってください 過ちは 繰返しませぬから」

これが現在を生きる我々に課せられた使命だと思います。

 

静かに手を合わせ、その場を後にしました。

 

 

これで本日の旅程は終了です。

平和記念公園を離れた後は、1600円で泊まれるゲストハウスに宿泊しました。

 

 

一日目を振り返って、今日は記憶に残る一日になった気がします。

張り切って向かった厳島神社が鳥居改修中かつ干潮で残念だったこと、

牡蠣が想像以上に美味しかったこと、

そして原爆ドーム、慰霊塔などから想像以上のモノを与えられたことなど、語るに尽きない経験が得られました。

 

特に原爆に関するスポットは、夕方に行ったことや昨今の事情もあり、

非常に人が少なく思う存分七十年以上前の世界に没入することができました。

なかなかできない貴重な経験になったと感じます。

戦争と平和、現在の世界もこの狭間で揺れ動いているわけですが、

また世界がこの広島の人々の思いを裏切るような行動には出てほしくないと強く思います。

 

先人の方々、現代の私にまで通じる貴重な体験をありがとうございました。

 

 

 

 

 

復讐に生きることに決めた夫婦と死神の化学反応――伊坂幸太郎「死神の浮力」

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伊坂作品特有のスケール、活劇、そして感動!

 

今回紹介する本は、伊坂幸太郎さんの「死神の浮力」です。

この作品には前作である「死神の精度」がありますが、

前作未読でも楽しめる内容になっていると思います!

前作も全体的にほっこりできる仕上がりになっているので未読の方は是非。

 

あらすじ

娘を殺された山野辺夫妻は、犯人の本城に無罪判決が下ったことに愕然とする。

犯人への復習を誓った夫婦のもとに、判決に対するコメントを求めるマスコミが押し寄せる中、自転車に乗った死神、千葉が夫婦のもとを訪れる。

死神の千葉は山野辺に「可」、「見送り」のどちらの処分を下すのか、

そして山野辺夫妻の復讐は成功するのか⁉

 

といった感じです。

 

みどころ

飄々とした死神と人間の夫婦とのやり取りが軽妙で面白い!

 

前作同様、死神の「千葉」が上からの命令で人間界に派遣され、七日間人間の様子を

見極めて死亡させる「可」か生かさせる「見送り」かの判断をするというのがキモ。

 

死神は割と適当で、軽く対象に接触しただけで「可」にする者が多い中、

千葉はしっかりと七日間対象のそばで観察したうえ、判断を下します。

真面目なんですね。可愛い。

 

今回は山野辺夫妻のもとに遣わされる訳ですが、前作と変わらず人間との軽妙な掛け合いがイイ。

死神は時代を問わず派遣されるので、大名行列の比喩を用いたら滔々と当時の参勤交代の様子を語りだしたり、武家諸法度を帽子の一種だと考えていた時期もあったりと、

死神と人間が違う種族で、人間の常識と死神の常識や考え方が違うことが感じられる描写が随所にあり、読むたびにクスっとなってしまいました。

 

もちろん身体能力も人間の比ではないので、その文字通り人並外れた身体能力が発揮される場面は痛快です。特にラストは必見。躍動感が半端ない。

それなのにミュージックが好きってとこのギャップが萌える。

 

またね、犯人の本城がどうしようもないクズなんですよ。

マリアビートルの王子の胸糞さに匹敵するくらい。

しかもかなり策を弄して追いつめてくる系の悪人なんで本当にタチが悪い。

こんな犯人に目をつけられた山野辺夫妻が不憫でならない。

ここまで吹っ切れているのでかなり山野辺夫妻に感情移入できると思います……

 

おわりに

夫婦の復讐という重いテーマを題材にしているにもかかわらず、人間の常識が及ばないもののなんか親しみが湧く死神というエッセンス、それに伊坂先生特有のスカした会話ややり取りを加えることで、何とも爽やかな後味のある物語となっております。

 

本当に伊坂先生が書く会話、カッコいいんですよね。

 

人間界にいるときは雨が降る死神の物語を、この秋雨の時期に是非。

 

それでは。

 

 

 

青春18きっぷで山陽一人旅に出たって話。(一日目・厳島神社)

皆さん、九月十日が何の日かご存じですか?

 

綾戸千絵の誕生日?確かに。

 

青春18きっぷが使える最後の日です。

 

18きっぷを知らない人に軽く説明すると、JRの在来線が合計五日間乗り放題になる切符です。

 

僕は実家への新幹線の往復代より、切符一枚買ったほうが安くね?ってなったので買いました。ちょっと旅に出たかったし。

 

んで、大阪から高山経由で一泊し、実家の越中に帰ったのは先月の話。

そして今月頭に大阪に戻ったので計三回消費。

 

大阪戻って思ったんすよ。

「あと十日で二回使うん割とキツくね……?」って。

「ついでに今週まあまあ天気悪くね……?」とも。

 

ということで、ギリギリですが九月九日から十日にかけて、行ってみたかった山陽へ繰り出すことにしました!

※三密回避、不織布マスク、一人旅など感染対策には万全を期しております。

ワクチンも二回接種済みです。

 

一日目

朝、姫路

朝七時台に新大阪を出発。姫路へ。

乗換の時間あったのでね、一回駅外に出て姫路城をパチリ。

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姫路駅前



姫路城は塗り替えてからすぐの時期に行ったことがあるのですが、想像以上に白くて驚いた記憶。

徳川が作った城が白くて秀吉の時の城が金を映えるようにするため黒いみたいなのありましたよね?

 

全盛期よりちょっとくすんだ今ぐらいが僕の目にはちょうどよかった。綺麗。

少しの姫路を堪能した後、列車に戻り瀬戸や相生を乗り継ぎ宮島口へ。

 

この過程で乗換一分の相生ダッシュを見られたので満足です。

個人的に実家規制の時に見た米原ダッシュの方がホーム移動のこともあって凄かったかな……

 

僕は負けたので立って本読んでました。今日のお供は「死神の浮力」です。

久々の伊坂作品いいなーって読んだり乗り換えたりしたらあっという間に宮島口へ。

 

宮島口駅→フェリー→宮島へ

宮島口駅から少し歩くとフェリー乗り場へ。

JRがフェリーを経営しているので18きっぷで乗れるのほんといいですよね!

フェリー乗り場の前に蘭陵王の像があったのが謎でしたね……

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宮島口駅フェリー乗り場より

乗り場の中に入ると、土産物売り場など結構いろいろな施設がありました!

昨今の事情により閉まっている店も多かったですが……

船は想像よりかなり頻繁に出ていて驚き。

JRとそうでない船があるのでそこは注意が必要ですね!

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フェリー乗り場

で、定刻になり出港。

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最高やな。

 

船に乗ったのが人生二回目なのもあり、乗船中はテンション上がりっぱなしでした。

遠くの街並みや山も綺麗ですし、何より体いっぱいに受ける潮風が心地いい。

昔は海辺の生臭いような香りが嫌いだったんですけど、いつからか郷愁を感じるようになったんすよね。年ですかね。

宮島、厳島神社、そして牡蠣。

そんなこんなで十分ほどで宮島に到着!

観光マップないかな~と船着場から出て散策していると……

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え?

鹿おるやん。

お前奈良だけじゃないん?

 

僕奈良に定期的に通うくらい鹿好きなんですよ。

もう運命感じるよね。これ。

 

珍しいと思って観察していたら鹿の扱いに関する看板がそこら中にあって割とメジャーな生物なんだと理解しました。

 

海の近くに鹿がいるってのはなかなか新鮮ですね。

どこからこの島に来たのかが凄い謎なんですが……

 

見た感じ雄の鹿の角がのびっぱな個体がいたので奈良よりは手入れされとらんのかな?

とか考えながらほてほて歩いていると厳島神社の鳥居に到着。

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好い。本当に好い。

海と鳥居が一堂に会するのってなかなか珍しくてテンション上がりませんか?

灯篭は存在が好き。あるだけでエモい。海と絡まりなおエモい。

この景色、大好物です!!

 

鳥居に一礼し、境内へ。


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本当に好きなものが集まりすぎて「来てよかった……」とつぶやきながら

辺りを徘徊する不審者と化してました。近くを通った皆さん、申し訳ございません。

 

厳島神社のシンボルともいえる大鳥居は、はい。

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知ってた。

ちょっと改修しているって情報を耳に挟んではいたもののここまでとは……

船乗ってる時から嫌な予感はしてたんですけどね。はい。

逆に改修中の方がレアという意見もあるので目に焼き付けておくことにしました。

でもあの赤い鳥居見たかった。ほんとに。

自宅帰還後、Twitterで改修中の鳥居のライトアップがクッソ綺麗という話を聞いて絶望したのはまた別の話。

 

その後も歩いていたら受付を見つけたのでお金払って中へ。

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朱色の柱と木でできた足場が映えて綺麗ですね!

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この日は干潮だったので、ただの高床式神社となり果てていましたがまあ素晴らしい。

神社の真下の砂浜に貝が多く分布していたので本当に海に浮かんだように見える時期があるのだと実感。

 

こんな美しい島で合戦やっていた輩もいるのだなと思いを馳せていたのでありました。

確かにこの島に集めて殲滅するのは効率よかったかもしれん……

 

そんなこんなで参拝し終わり、御朱印もしっかりいただいたので厳島神社を後に。

 

その後、宮島内には色々な店があったので、前々から食べてみたかった本場の牡蠣を

食べてみることに。

焼き牡蠣二つで450円也。味付けは定番のポン酢。

思ったより大きいな~とか思いながら楊枝で刺して一口でぱくり。

 

だらに美味いやんけ。(富山弁噴出)

 

僕は今まで牡蠣があまり好みではなかったのですが、本場の牡蠣は美味いのだろうと

夢を見て食べに行ったんですよ。そんな期待せずに。

 

今まで食べた牡蠣を過去にするレベルで美味かったのよ。これが。

 

こりゃ牡蠣好きな連中の気持ちも分かるわ。

何でしょうね?やっぱ貝特有の変な生臭さがなく、濃厚で磯の風味を感じられる味?

二つ平らげるのに三十秒もかからなかったと思います。危険な味や。これ。

そのせいで亡骸の写真しか撮れず。好奇心と食欲には勝てなかった……

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牡蠣の亡骸。ほんとに美味しかった!

その後ももみじ饅頭などに舌鼓。

広島県民のソウルフード?らしい「がんす」も美味しかった!

 

おなかも膨れ、念願の厳島神社見物もできたということで、

後ろ髪を引かれながらも宮島を後にしました。

今度は鳥居の改修終わった後、満潮の時にでもまたリベンジしたい!

 

そして、今回の旅の宿がある広島市内に向かいます。

修学旅行で行けなかった原爆ドームをしっかり目に焼き付けてこようと思います。

それでは今日の更新はここまで!

 

それでは。

 

 

 

新本格の潮流の一つの到達点――知念実希人「硝子の塔の殺人」

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帯が強すぎる。

今回紹介するのは、今年七月に発売されて話題となった知念実希人さんの、

「硝子の塔の殺人」です。

 

知念先生は近頃Twitterでコロナに関する情報や、正しいワクチンに関する認識を

常々発信されております。

私自身もよく先生のツイッターをチェックさせていただいていたこともあり、

「凄い面白そうな本が発売されそう!」と前々から期待が高かった一冊です。

 

帯にずらっと並ぶ名前とコメントの破壊力高すぎませんか?

新本格の先駆けとなった島田荘司先生と綾辻行人先生がドカンとコメント寄せているだけでもう買うしかなかったですね。

特に島田先生のコメントの火力が高すぎる。

 

ついでといったらアレですが表紙の絵もとても美しいですよね!

硝子の塔と雪と月という単体でも映えるものを組み合わせて一層幻想的な世界を描いているこのイラストは素晴らしいです。本当に。

 

あらすじ

硝子の館の主、神津島太郎に対して殺意を持つ医師の一条遊馬は、神津島より硝子の館に招待される。一条は神津島の殺人を目論むが、招待されたメンバーの中には探偵を名乗る碧月夜が存在しており――

 

といった感じです。何書いてもネタバレになりそうなのでこの程度に留めておきます。

 

みどころ

期待を裏切るギミック満載のミステリへのリスペクトに溢れた一冊。

 

どんでん返しっていうか根底から覆って再構築される感じです(語彙力)

 

もう何言ってもネタバレになる気がするので詳しくは言いませんが、

決定されていたと思っていた事項が覆り、誰も予想できないような結末へと物語が収束します。

 

流石にその展開は読めんて。

 

この本にも、読者への挑戦状が付属しているのですが、

誰が分かるかって感じでしたね。

 

普通挑戦状があったら色々考えてみるじゃないですか?

僕もそのタチで絶対挑戦状あったらページ遡って考えるんですよ。

 

今回は完全放棄しました。

 

「この意味不明な情報から何をどう予測しろと⁉」ってなりました。

あの段階で率直に展開読める人がいるのかが気になる。

 

この物語のギミックも素晴らしいのですが、帯にも仕掛けがあるのが面白いですね。

読み終わってから帯のコメントを見ると。「そういうことか!」ってなるんですよ!

結構コメントの真意に気付いたらニヤつけると思うので帯があるうちの購入をお勧めします!

「この先生可愛いかよ」ってなること請け合い。

 

おわりに

本の構成、トリックなどが非常に匠で末永く読まれる作品になりそうです。

(上述した帯のギミックが楽しめるのは今だけかも)

早く読んどいて損はない作品だと思うので、今のうちに読むことをお勧めします!

本屋大賞ノミネートはされるでしょう!多分!

 

それでは。