読みやすい!グロい!サイコ!でもしっかり騙される!――乙一「GOTH」※ネタバレなし
昨日invertの記事投稿した後に前作mediumが文庫化することを知ったとーどんです!
文庫化したらお手頃価格になるのでぜひいろいろな人に読んでもらいたい一作ですね!
あの読後感と後半の事実発覚は衝撃的でした……
さて、今日紹介するのは乙一さんの「GOTH」です。
このアングルだとわかりにくいですが、この分冊一冊一冊自体はかなり薄く、
二冊合わせて普通の文庫本一冊ぐらいの分厚さです。合計450ページくらい?
京極作品の3分の1じゃねえか
ページも少なめで、6つの章からなる短編集なのでとっても読みやすいです。
でも侮ることなかれ。短編一つ一つがしっかりミステリしてます。
あっさりした概要
男子高校生の「僕」が、「森野夜」という女子高生との交流を通し、猟奇的な事件を
解決したり、森野に降りかかってくる火の粉を払ったりするお話です。
全く魅力を伝えられていない気がする。
ミステリーネタバレなしで紹介するん難しすぎんか?僕の言語力の問題ですね。
気に入ったポイント
もうね、登場人物が全員サイコパスなんですよ。
主人公の「僕」も感情がほぼ死んでいておかしいし体をバラバラにする輩やら
手首に異常なほど愛情を示す輩やらでカオスです。犯人の考え方とかもう大体ヤバい。
ヒロインの森野も凄惨な事件が好きだったりするのに少し抜けたところがあるとかもうわからん。サイコパスのスマッシュブラザーズだろこれ。
そんな愉快な登場人物が織りなす物語、GOTHですが本当しっかりしたミステリです。
短編全て粒ぞろいですが、特に最後の章、「声」は最高です。素晴らしいです。
移動中にこれ読んでたんですが途中で「んっ?」ってなってその章の最初から読み直しました。結局そういう展開なんか~と思っていたところに一発カマされました。
全体的に森野と僕との関係性が好きですね。付かず離れずみたいな。
終わりに
あとがきで乙一さんも述べておりますが、ミステリーをラノベしか読まない層に向けて書かれた「ライトノベルとしてのミステリー」です。
普段読まない人向けに書かれているので、ミステリの入り口として最適だと思いませんか?
ミステリって難しそうとか思っている人にこそ読んでもらいたい本でした!
それでは。
前作mediumからの期待を裏切らない、読者への挑戦が嬉しい倒叙集――相沢沙呼「invert 城塚翡翠倒叙集」※ネタバレなし
今回は今年発売された「invert 城塚翡翠倒叙集」の紹介です。
このinvertの前作、mediumを読んで頭を殴られるほどの衝撃を受けたので、
滅茶苦茶に高い期待のもと購入しました。
結果として、期待を裏切らない面白さでした。
ネタバレに気を配って紹介したいと思います。
※前作のmediumを読んでいない人は絶対にmediumから読んでください!
前作のネタバレをinvertは多大に含みます。
内容
霊媒探偵である城塚翡翠が、事件を解決していく物語です(小並感)
ネタバレ伏せて紹介するの凄い難しくないですか?特にミステリーって。
こんなゴミカスみたいなあらすじでしか僕は表現できませんが面白いんですよこれ!
この本は「雲上の晴れ間」「泡沫の審判」「信用ならない目撃者」の三本立てです。
そして、三本全部に読者への挑戦状がついています。これは美味しい!(意味不明)
とても個人的な感想
やっぱり挑戦状がついてくるタイプのミステリーって対抗したくなるじゃないですか。
作者の考えを読んで真相にたどりついて一人でドヤ顔したいじゃないですか。
蹴散らされましたね。
この作品は倒叙集なので犯人側の視点で語られる訳ですよ。
だから犯人がどこで解決につながるようなポカをやったか目を皿のようにして描写を探すんですよ。
見つからねえのな。これが。
どうも私の足りない知能では作者の思考を読むのに数十年の研鑽が必要なようです。
我慢できず解決編を読んで「なるほど!」と膝を打つ×3でしたね。
もう一種の脳トレとして楽しめるんじゃないかな。この本。
そして、相も変わらず伏線がエグいです。読み終わった後に
「この部分も伏線やったん!?」てなります。絶対。
特に最後の章、「信用ならない目撃者」は素晴らしいです。ハラハラです。
前作を踏襲しつつも、新しい形で前作のキャラクターを動かしきったよい作品でした!
前作についてもいつか感想書きてえなぁ……
それでは。
登場人物全員が駒、中央で糸を引く絡新婦とは誰なのか――京極夏彦「絡新婦の理」について ※ネタバレなし
絡新婦の理について
この本、滅茶苦茶、面白い。
「絡新婦の理」は京極夏彦先生の「百鬼夜行シリーズ」の第五作目で、
シリーズ最高の分厚さを誇っています。解説含め1389ページ。頭おかしい。
背表紙で自立すると言ったらこの本の鈍器具合がわかるでしょうか?
百鬼夜行初見の友達に見せたら「六法?」と返ってきました。僕もそう思います。
この分厚さで敬遠されがちな百鬼夜行シリーズですが、中身は本当、抜群に面白い。
読んだことがない方は比較的薄い?姑獲鳥の夏から読むことをお勧めします。
このシリーズの沼は本当に深いです。早くこっちにきて沼に浸かろう!
さて、肝心のあらすじです。
あらすじ
女の死体が宿で発見された。両目を潰された姿で。
木場は手口の共通点から、連続殺人犯、平野祐吉の仕業であると考えた。
しかし、現場では木場の旧友、川島新造らしき目撃証言や遺留品が残っており―
聖ベルナール学園に通う呉美由紀は、学校にある謎の像「黒い聖母」に向かって儀式を行うと、人を呪い殺すことができるという噂を聞く。友達の小夜子にはどうしても呪いたい相手がおり、二人はこの噂について調べることになるが―
連続殺人事件と学園での「黒い聖母」の噂。
一見関係のないと思われた事態は網のように収束し、京極堂をも飲み込んでいく―
どこからどこまでが罠なのか。その惨劇は防ぐことができるのか。
――そして、中心に陣取る「蜘蛛」とは誰なのか
シリーズ最大規模の事件、京極堂シリーズ第五弾!
といった感じです。なんかの宣伝のようになってしまいました。
みどころ
あらすじが拙いですが内容は抜群に面白いんですよ(n度目)
登場人物は京極堂をはじめとして木場、榎木津、敦子などのレギュラーに加え、
いさま屋や益田など、準レギュラーも数多く出演しています。
特に益田さんは大きな変化があるのが見どころですね。
関口君は……うん。
京極堂のいつもの蘊蓄も冴えわたり、日本の男女観やある宗教、フェミニズムについて深く深く語られていました。
特にフェミニズムについての講釈は必見です。
ネットで叩かれているようなそれとは違って、かなり納得できる内容でした。
総評
相も変わらず分厚いこのシリーズですが、後半400ページの読ませ方はヤバいです。
驚異的な伏線回収と息をもつかせぬ展開でガンガン読ませに来ます。
これだけ長いクライマックスもないのではないのでしょうか?
この部分を読んでいるときの時間の消し飛ぶ感覚を未読の方に是非味わって頂きたいですね。
今回は女性キャラが多く、華やかなのもgood。
そして、特徴的だと感じたのは今回は今までの作品と異なり、冒頭に物語の結末となる描写が書かれています。読み始めていきなり「おっ」となるわけですね。
しかし、というか案の定、その部分だけでは何を言っているのかわからない描写です。だから初手で犯人や事件の全貌が分かるということはありません。
で、最後まで読み切って最初に帰ってくると、「あぁ……」となります。
最後まで読み切ってからこの冒頭を読むと――物語の終わりを感じる上に凄い寂寥感というかやるせなさとかが襲ってくる訳です。読み終わった後の余韻が半端ないです。
そしてこの冒頭の描写で特筆するべきはその美しさでしょう。
なんかもう凄いんですよ!桜吹雪の舞う情景がありありと浮かんで物語を通しての儚さとか全部が集約されている感じです。僕如きの貧弱な語彙力では表しきれないほどの美しさです。使う人によってこんな普段使いしている言語が美しく化けるのかと。
日本語の美しさを再認識するいい機会になりました。
まあ、英語の勉強から逃げる理由にはならないんですけどね……
間違いなく面白いうえ、勉強にもなる本なので興味を持った方はぜひ読んでみてほしいです!
――それまでに鉄鼠までの四巻も読もうね!
下に百鬼夜行のリンク貼っときます。
それでは。
復帰
勝手に作って何も書かず勝手に失踪しました。
一年近い空白期間ののち、自分の好きな本について書きたくなったのでまた更新してみようと思います。
継続は力になるらしいのでどんなネタでも更新してみようと感じた次第でござりまする。
【初投稿】自己紹介とか
初めまして!新しくブログを開設させていただきましたとーどんと申します!
とりあえずコロナの影響でロクに外出もできずなんかの暇つぶしになりゃいいなあとして始めました。よってブログに関してはズブの素人です。…大目に見てください。
ってな訳で私の趣味とか日常とかを雑に雑に垂れ流していければいいなと思っています
クッソマイペースに更新する予定なんでそこらへんもまたご勘弁。
ここまで書いといて自己紹介とかはプロフィールのほうに書いとけばよくねって思ったんでそうします。ではまた次回。